中銀カプセルタワービル

緑化の提案

中銀カプセルタワービル 緑化の提案

東京、銀座の「中銀カプセルタワービル」の存続と解体について様々な議論がなされています。工学院大学建築学部の遠藤新先生が指導した2020年度の卒業設計をご紹介します。小浦梓さんのこの研究は2020年度工学院大学卒業設計アラン・バーデン賞を受賞しました。

中銀カプセルタワーの緑化メタモルフォーゼ

遠藤新(工学院大学)

工学院大学建築学部まちづくり学科の小浦梓による「中銀カプセルタワーの緑化更新」は、メタボリズムの代表的作品として評価が高い黒川紀章の設計による「中銀カプセルタワー」を「緑化」という現代的手法により更新し、新陳代謝を実現しようとする卒業設計である。設計者である黒川紀章のメタボリズム思想に基づく歴史的文脈と、建物を通した生物多様性の保全つまり人々やその他の生き物が緑の恩恵を得られるような建物緑化という現代的文脈の接続を試みている。

正面全景。カプセルの上部、低層部の屋上階、コアの壁面を緑化する。

緑化には自生種を選定する。周辺環境に悪影響を及ぼさないだけでなく、地域に根ざし育ちやすい植栽を選ぶ。半径 1 キロメートル内の周辺緑地と同様の樹種が望ましい。鳥や虫が周辺緑地まで種子を運び、生態系ネットワークを形成する。平面緑化と垂直緑化を連携する。緑化は複数階層とし縦方向の繋がりを形成する。これにより上の階まで鳥や虫を誘引する。緑の被覆面積はできるかぎり拡張する。コンクリート面ではなく土や芝で覆うことで生物のすみかを守る。

カプセルの更新は現在のユニットを単位とし、ユニット個数分に応じてブランケット、ハイテンションボルトの数を倍化していく。当初計画では1つ10㎡のカプセル(4トン弱)を4本のボルトで支えており、この構造的考え方は踏襲する。カプセルの用途には、オフィス、店舗、住宅、ホテル、庭園など多様な用途を想定する。コロナ禍においてリモート会議や在宅勤務など多様な働き方が生まれ、定着した。このカプセルオフィスで仕事しながら宿泊し、翌日は郊外の会社に出社する働き方もあり得る。都心に必要な床面積が減っていけばオフィスや住宅のカプセルは不要となり、庭園カプセルが増えるかもしれない。都心の銀座にはむしろツーリストが訪れ、食事や緑の中の散策、宿泊などを楽しむかもしれない。加えて、首都高の脇にある立地を活かし、運転に疲れた際はこの緑豊かなカプセルで癒やされながら食事・宿泊する。緑の中を散歩することでリフレッシュすることもできる。

正面全景。カプセルの上部、低層部の屋上階、コアの壁面を緑化する。

ここでの緑化はデコレーションのように見えるかもしれないが、その本質は長年成し得なかった新陳代謝のコンセプトに対する現代世代からの回答だと受け止めるべきである。この提案は中銀カプセルタワーという建築のリノベーションであり、メタボリズムという夢のリノベーションなのである。
東側からの中銀カプセルタワービルの全景イメージ。


各階の植栽計画図。地域の植生分析に基づく在来種等をベースに、風に強い樹種や、季節を感じさせる樹種などを適宜おりまぜメリハリある緑の景観をつくる。

(図左)各緑化部にはユニット上部より灌水し、一定水量が貯まったら下部ユニットに順次水 が流れ落ちていく自動潅水システムを設置。 (図右)庭として利用できるフレーム型のカプセルを 導入する。最上階のカプセルは外部階段で つながり、外部を回遊することができる。
(図左)左右のコアをつなぐ通路部分も緑化し、共同オフィスからアクセスできる庭をつくる。 (図右)低層部には街に開かれた商業・飲食の場所を設ける。豊かな緑によって街路空間を演 出する。つながり、外部を回遊することができる。

遠藤新 Endo Arata
1997 東京大学工学系研究科都市工学専攻修士
1997-2005 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻助手
200 関東学院大学工学部土木工学科 非常勤講師
2005 金沢工業大学環境・建築学部建築都市デザイン学科講師
2009 工学院大学工学部建築都市デザイン学科准教授
2011 工学院大学建築学部まちづくり学科准教授


小浦梓 Koura Azusa
2017 工学院大学建築学部まちづくり学科 入学
2021 工学院大学建築学部まちづくり学科 卒業

カプセル建築プロジェクト  ABOUT(ごあいさつ)

Capsule Architecture Projectinfo@capsule-architecture.com

Powered by ATELIER OPA